Henri Cartier-Bresson アンリ・カルティエ=ブレッソン




Henri Cartier-Bresson
アンリ・カルティエ=ブレッソン


フランス, 1908-2004

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Henri Cartier-Bresson アンリ・カルティエ=ブレッソン

アンリ・カルティエ=ブレッソンは、フランスのセーヌ=エ=マルヌ県シャントルーに5人兄弟の長男として生まれました。実家は裕福な織物製造業で、フランスの各家庭の裁縫箱にはたいてい「カルティエ=ブレッソン縫い糸」が常備されているほど有名でした。アンリは幼いときから絵を描くのが好きな子どもでしたが、経済的に恵まれていたこともあり、コダックのボックス型ブローニーカメラを買ってもらい、スナップショットを撮影していたようです。

両親はアンリに家業を継いでほしいと強く望みましたが、本人は強硬に拒み、パリ・モンパルナスにある美術学校に入学しました。そこで彼はキュービズムの画家アンドレ・ロートに師事し、絵画を勉強しました。
その後、彼はカメラを使ってキュービズムやシュールレアリズムに影響を受けたアバンギャルドな写真を撮るようになります。と同時に、社会から見捨てられ、裏通りにひっそりと住む貧しい人々に対する親近感も表現していきました。豊かで不自由のない環境に背を向け、アートの世界に飛び込んだ自らの境涯と重ね合わせていたのかもしれません。



Henri Cartier-Bresson アンリ・カルティエ=ブレッソン

まもなく、彼は小型の35mmライカ・カメラを手にします。たちまちその小さくて革命的なカメラを使いこなすようになったカルティエ=ブレッソンは、イタリア、スペイン、モロッコ、メキシコと旅行し、写真を撮り、20世紀を代表する写真スタイルを確立したのです。

「突然、私は理解したのです、写真とは、一瞬にして永遠を刻み込むことができるということを」と彼は述べています。また、ライカを「自分の眼の延長」だと表現しました。そのコンパクトなカメラは人混みのなかで撮影するときでも気づかれないという匿名性を彼に与え、「撮られている」と気づくことで人が不自然な感じになるのを克服しているのです。

第二次世界大戦中が始まると、カルティエ=ブレッソンはフランス軍に従軍しましたが、ドイツ軍に捕えられ捕虜となってしまいます。3度目の試みでようやく脱走に成功し、レジスタンス運動に加わりましたが、「彼が戦死した」という噂が世界を駆け巡り、ニューヨーク近代美術館(MoMA)では彼の死を悼み、回顧展が企画されました。これには生存していた本人が出展、出席したというオチがついています。



Henri Cartier-Bresson アンリ・カルティエ=ブレッソン

1947年には写真家集団「マグナム・フォト」をロバート・キャパ、デヴィッド・シーモアらとともに設立し、ルポルタージュ写真を量産。インドではマハトマ・ガンディーの暗殺前後を、中国では国民党の終焉から中華人民共和国の誕生までを、インドネシアでは独立を、スターリン死後のソビエトを、それぞれ撮影しました。1952年に出版された彼の最初の写真集のタイトル『決定的瞬間』(フランス語タイトルは『逃げ去るイメージ』の意)はカルティエ=ブレッソンの代名詞ともなりました。その本のなかで、彼は自分の哲学をこう述べています。

「私にとって写真とは、ある出来事が起こった瞬間に、その意義だけでなく完璧な構図をも、同時に認識することなのです。それによりその出来事にふさわしい表現を与えることができるのです」

その後、1966年にはマグナムを脱退し、1974年頃からは絵画とスケッチに打ち込むようになりました。
2004年、南フランスの自宅にて死去。95歳でした。



Henri Cartier-Bresson アンリ・カルティエ=ブレッソン

アンリ・カルティエ=ブレッソンは自らを「フォト・ジャーナリスト」と名乗りました。おそらくこれ以上に的確な肩書きはないでしょうが、さらに少し違った角度から見てみると、彼はキュービズムの画家アンドレ・ロートのもとで絵画を学んだという経歴を持つ唯一のフォト・ジャーナリストです。ジャーナリストではありましたが、彼の作品の多くはいわゆる報道的な題材を扱っておらず、代表作といわれる写真のほぼすべてが仕事として撮られたものではなく、自分を取り巻く世界に純粋に魅了されて撮影したものです。

ルポルタージュとしての彼の仕事を過小評価することはありませんが、カルティエ=ブレッソンの写真がほかの写真家たちにとって憧れや尊敬の対象となるのは、それらが美しいからです。彼は光のパレットを手に絵を描く画家のようであり、優美さを持ち、完璧な構図でバランスを保ち、驚きにあふれ、無駄を省き、視覚的な機知を備えています。

しかし、それはカルティエ=ブレッソンの写真が構図や表現方法にこだわるあまり内容的には抽象的だったということを示唆しているわけではありません。むしろその作品は、この世界に存在する生命を前にしたときに彼が感じ、湧き上がって出たものの具現化なのです。

マグナムの編集局長であり、友人でもあったジョン・モリスは「カルティエ=ブレッソンには知性と教養があり、独特の歴史感覚を兼ね備えていた」と言っています。
「その知性や歴史観は単なる知識ではなく、彼の心から生まれたものです。彼にはすぐれた直観力があります。彼は子どもたちの気持ちがわかり、老婦人をも理解しました、そして人間に関してどの瞬間が意味を持つかという点についてもよく知っているのです」




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アンリ・カルティエ=ブレッソン Henri Cartier-Bresson
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