
Paul Strand
ポール・ストランド
ポール・ストランドは1890年にニューヨークで生まれました。
14歳でエシカル・カルチャー・スクール(Ethical Culture Fieldston School)に入学し、そこで教師をしていた写真家の ルイス・ハイン に指導を受けました。在学中、ストランドは写真家アルフレッド・スティーグリッツが開設した「ギャラリー291」を訪れ、モダニズム写真やヨーロッパの前衛美術を見てプロの写真家を志すようになります。
1912年にプロの写真家となったストランドは当初、抽象的な写真や、パターンを用いた実験的な作品作りを始めます。スティーグリッツは彼の作品を高く評価し、ギャラリー291で個展を開催しました。
また、彼は映画の監督もしています。
1921年、友人の画家チャールズ・シーラーと共同でニューヨークの日常生活を記録したサイレントの短編ドキュメンタリー映画『Manhatta』を制作しました。
1917年に、ポール・ストランドは次のように述べています。
「写真を撮るとき、人は 『目の前のものに対する心からの敬意』 を持たなくてはいけない。そして、印画紙のうえには再現できない微細なレベルの色調にまでこだわって、その敬意を表現すべきだ」と。
彼はこの言葉の前半で写真撮影の際のモラルを、後半ではその美学を語っているのです。
『目の前のものに対する心からの敬意』 とは、単に目の前の事象に敬意を持てといっているのではなく、写真を撮る「理由」そのものをも意味しています。
写真に対するこうした姿勢は、撮影テクニックや芸術的な問題以上に重要な、写真家の土台となるものでしょう。
実際、多くの写真家がこの考え方を認め、支持してきました。しかし、いざ写真を撮る段になると表面的な「画像作り」のおもしろさに夢中になり、写真家というよりは「写真撮影のプロ」で終わってしまう人が多いのも事実です。
興味深いことに、ポール・ストランドは、歳を重ねるにつれてより厳格に自分の考えに忠実になっていきました。
1920年以前の彼の作品には抽象的な傾向や、キュービズムなどの実験的写真への嗜好が見られましたが、その後、彼の作品は次第にナチュラルに、おだやかなものに変化していきました。
ストランドの作品のなかで最も美しく、多くの写真家に影響を与えたのは、植物などの自然をクローズアップで撮影したシリーズです。これは1920年代初頭に撮影を始めたテーマです。
これらの写真は、単に植物の構造を説明するために描写したものではありません。
そこには凝縮された世界観が広がっており、壮大な風景を撮影するときと同じ繊細さで光や空間を扱い、表現されています。
『目の前のものに対する心からの敬意』で対象に向き合い、自分との対話を突き詰めていった結果、ストランドは小宇宙のなかで息づく自然の旋律を再発見したのです。
- Paul Strand. Retrospectiva 1915-1976
- Paul Strand: Under the Darkcloth, Part 1 of 6
- Paul Strand: Under the Darkcloth, Part 2 of 6
- Paul Strand: Under the Darkcloth, Part 3 of 6
- Paul Strand: Under the Darkcloth, Part 4 of 6
- Paul Strand: Under the Darkcloth, Part 5 of 6
- Paul Strand: Under the Darkcloth, Part 6 of 6
