
佐藤竜也
サトウ・タツヤ
20代の初めまでコマーシャルフォトグラファーとして広告や雑誌で活動していた佐藤竜也が、次第に自分自身の作品づくりに没頭するようになったのは、ビートジェネレーションの影響や、1970年代という時代背景のせいかもしれません。
自分はいったい何者なのか、どこから来てどこへ行こうとしているのか、彼の出発点はそこであり、それを追求し表現する手段として写真を選びました。
そして22歳のとき、カメラマンの仕事を辞め、ニコンF、後にライカM3とM4-Pを持って旅に出ました。
ヨーロッパ、南北アメリカ、アジア……。
世界を旅し、カメラマンではなく一人の人間として現地の人々と出会い、自然、文化、道端の光景、路地で遊ぶ子どもたちの歓声や、家族の日々の営みなどを目にし、地方の小さなギャラリーを訪れたりして表現の糧としてきました。
一見どこにでも存在していそうな平凡な日常生活の一場面が、彼の魂と目を通じて、印象的な詩の一節になったり、人と社会や自然との関係についての深遠な示唆になったりするのです。
また、写真家が撮りためた写真を写真集として発表するためには、編集作業が重要になります。
編集とは単に一枚一枚の写真をつなげるという作業ではなく、一冊の本を通して自分自身を表現する「作品」にしていくということで、時にそれは撮影以上に豊かなイマジネーションや緻密な計算、確固たるアイデンティティーを必要とするものです。
佐藤竜也の作品はウェブサイトで見ることができ、編集は彼自身がたどって来た時間と空間をバランスよく組み立てられています。
その写真からは、被写体に対する敬意や、国や民族といった境界線を超えたシンプルで親しみやすい表現が伝わってきて、見るひとに自由な発想を呼び起こすようです。
近い将来、編集という「旅」を終えたあとに一冊の写真集が私たちの手元に届けられることを期待しています。


