
Ansel Adams
アンセル・アダムス

アンセル・アダムスはアメリカの写真家で、ヨセミテ渓谷やカリフォルニアの風景を撮影したモノクロの写真作品によって日本でも特に有名な写真家です。
最初はピアニストになる夢をもっていましたが、14歳のときに訪れたヨセミテに感銘を受けて写真家を志すようになり、生涯にわたって国立公園などの雄大な自然の姿やドラマティックな自然現象などを撮り続けました。

アダムスは「ゾーンシステム」という写真技法を開発し、非常に高いクオリティーのプリントを作り出したことで有名ですが、同時に熱心な環境保護活動家でもありました。17歳から先駆的な自然保護団体「シエラ・クラブ」に入会し、地球との共生を訴えました。

一番上の写真はイエローストーン国立公園内にある有名な間欠泉「オールド・フェイスフル・ガイザー」を撮影したものです。
アダムスは1940年代前半に少なくとも3回この間欠泉を撮影していますが、撮影するたびにまったく違った写真が生み出されています。これは彼が毎回芸術的な解釈を故意に変えたからではなく、非常に精密な感受性を有していたことによります。彼は厳格な正確さでもって目の前の現象をとらえようとしたのです。

自然は絶えず変わり続けていますが、その変化は光の作用によって最も顕著に現れます。アダムスは、とある瞬間、とある場所で発生した光の特性を視覚的に理解することに優れていました。彼にとって風景とは固定された彫刻のようなものではなく、絶えず動き続ける光と同じように儚く、実体のないものなのです。こうした光に対する感受性が、伝説的な写真技術を開発する原動力となったのです。
アメリカの国立公園、自然環境保護区の作品をまとめた最も包括的なコレクション。たいへん貴重な写真や初出の作品も豊富に収録されています。

古典的名著ともいえるアンセル・アダムスによるシリーズ。撮影時に完成した作品をイメージする方法から、レンズの選び方まで、写真を始めようとする方ならぜひ手にとっていただきたい一冊です。このシリーズはさらにネガ、プリントと続きます。

アンセル・アダムス自身によるアンセル・アダムス写真の解説。話は技術的な問題から審美眼的視点にまで及び、撮影場所や出会った人々の思い出など、非常に魅力的な文章にひきつけられます。アンセル・アダムス自身のワークショップを受けているような気分になれる一冊。
- 写真は撮るものではない、作るものだ。